おりおりそそぐ秋の雨 | [A] Across The Universe

おりおりそそぐ秋の雨

大正時代の文部省唱歌に「四季の雨」という歌がある。


降るとも見えじ春の雨
水に輪をかく波なくば
けぶるとばかり思わせて
降るとも見えじ春の雨

俄かに過ぐる夏の雨
物干し竿に白露を
名残りとしばし走らせて
俄かに過ぐる夏の雨

おりおりそそぐ秋の雨、
木の葉木の実を野に山に
色様々に染めなして
おりおりそそぐ秋の雨

聞くだに寒き冬の雨、
窓の小笹(おざさ)にさやさやと
更行く夜半(よわ)をおとずれて
聞くだに寒き冬の雨


見事に季節の情景を切り取って雨を表現している。

いささか今年の雨の降り方は情緒に欠けるが、
それでもやはり木の実木の葉は色づいて、日一日と秋は深まる。