もし僕らのことばがウィスキーであったなら / 村上春樹 | [A] Across The Universe

もし僕らのことばがウィスキーであったなら / 村上春樹

村上春樹夫妻による、スコットランドとアイルランドの写真旅行記。

それもウィスキーをめぐる旅。

写真を撮ったのが奥さんとのことだが、この写真が素晴らしい。
行ったこともないスコットランドやアイルランドの雰囲気が、見てきたようにわかってしまう。

おそらく、かなり写真が上手なのだろう。
おかげで、スコットランドとアイルランドはドンヨリした天候が多く、強い潮風が吹いているイメージが焼き付いてしまった。

村上春樹の旅行記と言っても、ウィスキーがメインなので他の旅行記とはやや趣が異なる。

ウィスキーが好きで村上春樹が好きでなければ、読む必要はないかもしれない。


私は単行本でこの本を読んだ当時、まさにシングルモルトにハマっていた時期だった。

通っていた銀座の古ーいBarで、同年代のバーテンさんに日々シングルモルトについて教えていただいていた。

そこで行き着いたのは、アイラ産のシングルモルトだった。

特に好んで飲んでいたのはボウモア。
味だけでなく、あの美しいボトルも大好きだったからだ。
今でも酒屋に行くと無意識にボウモアのボトルを探してしまう。

今となっては飲むことも少なくなったが、この本を読むたびにピートの香りと潮の香りが濃厚に漂ってくる。

この本で教わった、生ガキにシングルモルトをかけて食べる、という贅沢な食べ方は残念ながら試みたことがない。
どこかで食べさせてくれる所があるのだろうか。

そして、銀座のBarから突然姿を消してしまった、あのバーテンさんは今どこにいるのだろう。
Tさん。
本当にお世話になりました。





もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 ショットグラスでストレートを飲むような
4 旅の仕方がなんか粋・・・
5 アロマさえも感じる様だ
5 好きなマンガのような本
5 スコッチの本場の風景が素晴らしい