夜のくもざる / 村上春樹 | [A] Across The Universe

夜のくもざる / 村上春樹

村上朝日堂の短編集。

安西水丸のカラーの挿絵がうれしい。

村上春樹の超短編に会わせたナンセンスな安西水丸の挿絵は、不思議な緊張感がある。

事情を知らずに読み始めたときに、既視感を感じた。
以前どこかでこんな感じの文章を読んだことがある。
そのモヤモヤは、「あとがき」を読んで氷解した。

この本の短編は広告に使われたもので、その依頼者はなんと糸井重里だったからだ。

そう、この文章の雰囲気は「夢で会いましょう」の雰囲気と非常に良く似ていたのだ。

彼の作品の「ファミリー・アフェア」という短編のなかで、主人公が妹に強烈に批判されるシーンが出てくる。
「つまらない冗談」。

その「つまらない冗談」が炸裂しているのがこの「夜のくもざる」。

これほど楽しい短編集がそこいらじゅうに溢れている訳はない。







夜のくもざる―村上朝日堂短篇小説 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
売り上げランキング: 77599
おすすめ度の平均: 4.5
3 春樹の「軽み」が凝縮された作品集
5 冗談を語り、哲学を醸す。
4 切りつめられ練られた文章とおしゃれなイラスト・・・
5 とにかく可笑しい
4 がちゃがちゃマシーンのような作品集。