さらば長き眠り / 原尞 | [A] Across The Universe

さらば長き眠り / 原尞

初期沢崎シリーズの最終作。

原尞一番の長編にも関わらず、最後まで読者を引きつける面白さは増している。


沢崎が新宿に戻ってきたのは400日ぶり。


それなのに、その理由については明かされないまま物語は展開していく。

久しぶりに戻った探偵事務所の前には、浮浪者の男がたたずんでいた。

その男はただの浮浪者ではなく、依頼者からの伝言を預かっていた。

依頼者の男は、高校時代に甲子園の出場経験があった。

そして、八百長疑惑で世間の注目を集めた過去があった。

そんな男が沢崎に何の依頼か。

男は、八百長を苦に自殺したと思われる姉の自殺の真相調査の依頼をしようとしていた。


推理小説の真骨頂。
そしてハードボイルドの格好良さ十分。

長編だけに登場人物も多彩。

時間を置いて読むと登場人物が混乱すること間違いなし。

高校野球から、伝統芸能である「能」まで縦横無尽に話は展開する。

あの日、マンションから飛び降りた姉の死の理由は。

物語はあらぬ方向へ回りだす。


そして、この物語で初期沢崎シリーズは終焉。
最後にその理由が明かされる。

なるほど。
なるほど。

新沢崎シリーズとなっても、私はずっと原尞にずっとついていく。




さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)
原 りょう
早川書房
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おすすめ度の平均: 4.5
5 タイトルの意味がよく伝わった!
5 純正ハードボイルド
2 言ってみればオールキャストのスペシャルドラマ
5 研ぎ澄まされた文章
5 ふたたび「長き眠り」