葉桜の季節に君を思うということ / 歌野晶午 | [A] Across The Universe

葉桜の季節に君を思うということ / 歌野晶午

叙述トリック。

結論から言うと見事にだまされた。
だまされようとして読んでいるのだから、だまされた時点で著者の目的は達成。

この小説は良く出来ている、と言う話にはなる。
著者の小説は初めて読んだが、まず題名が良い。
「葉桜の季節に君を思うということ」
ミステリーながら、ロマンティックな展開、切ないストーリーを予想させる。
そして著者のペンネームも良い。

「歌野晶午」。


主人公はトラちゃん。
女好きだけどプラトニックを追い求め、肉体の鍛錬を絶やさない。
過去には探偵の真似ごとにも首を突っ込んだことがある。
現在は警備員をしながらパソコン講座の講師も務める、「何でもやってやろう屋」。

そんな彼が後輩のキヨシに依頼されて首を突っ込んだのが、ジム仲間である「愛ちゃん」のおじいさんのひき逃げ事件だった。
愛ちゃんが言うには、事件の背後に老人相手の催眠商法を行う「蓬莱倶楽部」が絡んでいると言う。
過去の探偵の真似ごと時代のストーリーをもうひとつの謎解きとして挟みつつ、蓬莱倶楽部の確信へ近づいていくトラちゃん。

読者を待つ驚きの展開とは・・・

想像だにしない展開に驚いた。
まさに叙述トリック。

これはないんじゃないの?
と著者に文句を言いたくもなるが、勝手にだまされたのは読者。
そう、勝手にだまされるのが、この叙述トリックの面白さ。

でも、これはやや強引かもしれないけどね。
読者は最後に「葉桜」の本当の意味を知る。




葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
歌野 晶午
文藝春秋
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おすすめ度の平均: 3.5
5 やられた!
5 主人公達のこれからも続く青春に乾杯!!
5 叙述ミステリの記念碑的作品
5 思い込みはいけません。
5 これはお勧め!