ふたたび、生きて、愛して、考えたこと / 杉原美津子 | [A] Across The Universe

ふたたび、生きて、愛して、考えたこと / 杉原美津子

新宿西口バス放火事件。

被害者である杉原さんの文章は過去に何度か読んだことがある。
当時不倫をしたため、ほんの一瞬の生への戸惑いが被害を大きくしたこと。
杉原さん自身が、犯人と面会もした上での寛大な刑を望んでいたこと。

そんな杉原さんの最新書。
彼女は事件の治療に伴う輸血からC型肝炎に感染していた。

そして彼女は、再び語り始める。

事故の後、当時の不倫相手と結婚したこと。
その相手が、二人の人生の道のりの途中から突然認知症を患ってしまったこと。
そんな生活の中でも、一匹の飼い犬がどれだけ生活に潤いを与えてくれたかということ。


結局人生は、「苦しみ」という荷物を彼岸へ運んでいく作業であると言うこと。



あとがきで彼女は語る。

苦しみは、ひとりで手をこまねいていればいっそう重くなる。逃げ出そうとすれば追いかけてくる。放り出そうとすればしがみついてくる。
だが苦しみは、向き合って受けとめれば「糧」になる。ひとりになってはじめて、そのことを知った。



私が想像もできないような困難を経て、その後も長い長い間苦しんで。
苦しんで苦しんだ末に苦しみと向き合えば「糧」となる、というその重い言葉。

読み進めるのが苦しくなるような内容だけど、それでも生きなければならない。
そんな強烈なメッセージが詰まっている。







ふたたび、生きて、愛して、考えたこと
杉原 美津子
トランスビュー
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おすすめ度の平均: 3.5
4 最期に感謝して終われる人生のすばらしいこと
3 興味深いが読みづらい
4 人生は「習作」
5 なぜ繰り返すのだろう、と思いました。
4 「生きること」と「死ぬこと」の狭間