機関車先生 | [A] Across The Universe

機関車先生

みずみずしい。
最初から最後までなんてみずみずしい小説なんだ、と感嘆しながら読みすすめた。

時は終戦から程ない頃。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島にやってきた口のきけない教師。
口をきかんし、機関車のように大きな身体だから機関車先生。

島での生活、季節の移ろい、人々の優しさ。
目をつむると、まるでその島で彼らと一緒に体験したかのような情景が広がる。
ほんの少しの季節だけ過ごしただけで、子どもの心に、島の人々の心の奥深くに刻み付けられる人。

どれだけ言葉でうまく伝えようとしても伝わらないことがあるのが心。
でも、言葉を発しなくても伝わるのも心。
語らずとも、人柄はにじみ出てくるもの。

この小説を読んで改めて思った。

この読んでおくと、人生を過ごしていく上で参考になることが多いと思うな。




機関車先生 (講談社文庫)
伊集院 静
講談社
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