[A] Across The Universe -62ページ目

三方一両損



左官屋さんが、書き付けと印形と3両入った財布を拾う。落とし主は印形から大工と解ったので、早速左官屋さんは大工の所に届けに行く。
ところが大工は、書き付けと印形は貰うが、落としたお金はもう自分のものでないから持って帰れと言って受け取らない。 左官屋さんも強情で、そんな金欲しくて 届けたのでないと、口論になる。取りあえず大工の大家さんが仲裁に入って、左官屋はそのまま帰った。
今度は、左官屋が自分のところの大家に一部始終を話したら、その大家さんは怒って早速大岡越前守に訴え出る。
白州にでた両人は各々言い分を述べて金はいらないと言い張った。
そこで越前守は一両出して「二両ずつを両人に褒美としてつかわす。2人とも三両懐に入るところを二両となったのだから一両の損。奉行も一両出したのだから一両の損。これ呼んで三方一両損なり」で無事解決した。

この後、越前守のはからいで膳が出る。
両人喜んで食べようとすると、奉行「いかに 空腹だからと言って あまりたんと食するなよ」

「へぇい、多かぁ(大岡)食わねぇ」

「たった えちぜん(一膳)」

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会社の同僚に最近子供が生まれた。子育ての話を良くするのだが、彼はベビーカーでの外出がこれほど大変なものだとは思わなかったという。特に普段は全く気にしなかった横断歩道を渡るときの歩道と車道の段差が、あれほど障害になるとは思わなかったと。私が以前住んでいた江戸川区では歩道と車道の段差解消に積極的に取り組んでいたが、国土交通省のガイドラインで、車道と歩道の段差は2センチつくらなければならないのだそうだ。それは視覚障害のある方が杖で歩道と車道を区別できるように、との配慮からである。

子育て中の方と視覚障害をお持ちの方が、少しづつ不便を分け合っているということだ。 それ以外の人はどんな不便を分け合えばよいか。

よく新聞の投書欄などで論争になっているが、ベビーカーをたたまずにバスや電車に乗れるようにすれば良いのではないか。車内ではベビーカー用のスペースを設けて、ベルトなどで固定すれば安全性の問題はクリアできるだろう。すでに欧米ではそれが普通なのだから。 仕事帰りの込んでる車内で、スペースをとっているベビーカーがムカつくときは、赤ちゃんの泣き顔?笑顔?を見て一日の疲れを癒せばよい。日本の将来を担う大切な子供なんだから。2006年から日本の人口は減少し始めるんだから。

これにて三方一両損。


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【今日の病院】

特に昨日から状態は変わらず。鼻から胃に入れているチューブもやっと違和感がなくなってきた。明日、レントゲンを見て問題がなければ水分摂取が可能になるかもしれない。

冬がやってくる

雲のない夜空にオリオン座を見つけると、もう冬なんだなと思う。
今日は雲があって見えないが、今年もオリオン座が綺麗に見える時期になった。

Wikipediaによるとギリシャ神話では、

勇者オリオン(オリオン座)は海の神ポセイドンの子だった。大変に力のある猟師だったが乱暴で困ったので、大地母神ガイアがさそり(さそり座)を使い、毒針で刺し殺した。その後2名とも天にあげられ星座となった。オリオン座は冬の間、空高いところで威張っているが、さそり座が東の空から上るとこそこそと西の空に沈む。さそりは名高い勇者オリオンを一撃で刺し殺したくらいであるから、天にあがっても監視つきである。さそり座が天上で暴れた場合は、隣にいるケンタウルスのケイロン(いて座)が射殺すことになっている。

確か小学生の頃に習った冬の大三角形。こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウス。学校から星座盤を持ち帰って毎日夜空を見上げていたのを思い出す。北斗七星から北極星を見つけて家族に自慢したりもした。


今年の冬は暖冬だと長期予報が出ている。
新潟の被災された方々がこれ以上辛い思いをされないよう、お祈り申し上げます。



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【今日の病院】

昨日よりもお腹の張りが目立たなくなりました。痛みはなくなりましたが、絶食の上水分も取れないため、空腹と退院時期がわからないストレスで、娘は夕方に「家に帰る」と泣き叫んでいたらしい。泣き叫んだ後は落ち着いて、「頑張らなければいけないのはわかっているよ」と。前回7月から2ヶ月入院したときも元気になり始めてからストレスがたまり、小さな円形脱毛症を2つ作ってしまった。泣き叫んで発散するくらいで丁度よいのかもしれない。

先生のお話では、週末に食事を再開してみようかとのこと。ただし、イレウスが再発する、しない、は「運ですね」。「運」ですか・・・脱力するが、造影検査は腸に負担がかかるし、閉塞個所の状況を把握するためには開腹しなければならない、というのでは「運」でも仕方がないな、と納得してみる。それに今日の夜回診に来たのは3人のうち一番若い先生だったので、大先生に聞いてみれば「運」とは言わないだろう。でも「やってみないとわからない」のは確かなんだろうな。

家ではマンガを読ませてないけど、こんな時ぐらいはと、好きな「名探偵コナン」を買っていったら喜んで読んでいました。

皆さんの祈りが通じているんだと思います。
本当にありがとうございます。

守る

ニュージーランドで海水浴中の方を、イルカの群れが取り囲みサメから守ったという(CNN)。

昨日、娘の入院のことを書いたところ、たくさんの方が娘のために祈ってくださいました。
私が人間で、皆さんがイルカです。私は娘を守っているつもりでも、実はみなさんにこうやって守ってもらって生きています。いつも色々な方々に自分は支えられて生きているんだと頭ではわかっていますが、今日は実感することが出来ました。
また、こんなに多くの方が、見ず知らずの私の娘のために祈ってくださることに驚くとともに、震えてしましました。

たくさんのみなさんに祈っていただき、娘はきっと無事に戻ってきます。

見ず知らずの私たちに祈り、暖かい励ましの言葉、気遣いの心、本当にありがとうございます。恋ヶ窪さん、セローさん、ちょびちゃんはblogにも取り上げてくださいました。

無機的であるはずのこのつながりが、有機的につながって私の心に響きました。

みなさんの優しい心に感謝するとともに、お礼を申し上げます。

ありがとうございます。



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【今日の病院】

娘の嘔吐と腹痛はおさまり、今日はベッドに座れるようになりました。絶飲絶食は週末か来週初まで続く模様です。先生によると腹痛はおさまっても、閉塞が改善した事にはならないとのこと。水分を摂取できても、結局食事が出来なければ手術は避けられないそうです。食事が始まるまでは現在のまま小康状態が続く事になりそうです。来週、食事が始まってみてからが彼女の正念場になるのでしょう。

祈ると言うこと

先週から娘(小2)が入院している。
7月に15時間の大手術を乗り越え、9月に退院したばかりなのに。

生まれてからこれまで5回の開腹手術をしているために、癒着が原因で腸閉塞になった。これまでにも腸閉塞で1度入院し、何度か閉塞気味になったときは家で断食しお腹を休めて乗り越えて来たが、今回はまた病院のお世話になっている。

週末には回復傾向にあったため、昨日からお粥が始まり、朝食も無事に食べ終え、主治医からは木曜退院と告げられたその後、昼食を食べる事が出来ずに腹痛で苦しみ始めた。噴水のような嘔吐が始まり、またしてもイレウス(腸閉塞)再発。今日は退院のための服を持っていったところだった。短期間に2度目のため、今度は手術を視野に入れなければならなくなった。5度の手術で癒着が激しいため、なるべく保存的な処置をとるとのことだが、次にまた・・・と思うだけで気が重くなる。どころか、「どうか助けてください」と泣きたい気持ちだ。

望んでいることを口にすると願いがかなうと言う。
娘に「私はツイてる、早くよくなる!、と言ってみてごらん?早く良くなるよ」と。
娘は腹痛をこらえながら「私はツイてる、早く良くなる」と繰り返しつぶやいていた。

どんな神様でもかまいません。娘の腸閉塞を早く治してあげてください。

今はただ、祈る。

ひたすら祈る。

せんせいの「せ」の字は

北海道の東側のへき地育ちのため、中学校の修学旅行は札幌に2泊3日だった。なにせ全校生徒が20人足らずの学校のため、修学旅行は2年に1回、2年生と3年生が一緒に行くのが恒例だった。私たちは運良く3年生のときが修学旅行だった。

特急で札幌まで5時間。時計台やら羊が丘展望台やらビール工場やらを回って初日の夜。私を含め農家の子供が多く地元から出た事がない奴らばかりのため、ホテルと言う非日常空間に興奮し、夜は枕投げから始まって、「徹夜で語り明かすぞ」と言って栄養ドリンクを飲んだっけ。

そんな中、3年が、2年の奴に「せんせいの『せ』の字をやれ!」と言い出した。一同意味がわからず、ボケーッとしてるとそいつが「こうやるんだ」と言って尻を振って字を書き出したのだ。今でこそお座敷遊びの一つだとわかるが、当時何も知らない私たちは、修学旅行の非日常空間の中、男達だけでしばらく盛り上がりまくったのだった。


「せんせいの『せ』の字はどう書くの!」

「あ、それ、こう書いて、こう書いて、こう書くの!」


男達だけで何をやっていたのやら・・・でもね、地域には個人商店しかなくて、町に出るには車で1時間近くかかる場所に住んでて、非行の仕方もわからない田舎少年達が、札幌という北海道の大都会に出てきた気持ちの高揚を、東京に住んで10年以上経つ今でもありありと思い出せるのだ。


突然こんな事を書いた理由は、今日の夜空は雲ひとつなく、半分の月が綺麗だったから。

「せんせいの『せ』の字」をやってたときに、半分ケツを出すと「半月」、全部ケツを出すと「満月」と言っていたのを意味もなくふと思い出したから。

酒を飲んだり、タバコさえいたずらせずに、こんなことで盛り上がっていたあの頃の自分達は確かに可愛いい奴らだった。

Red Ribbon

本日の全国紙に全面広告で出ている「私は、わかりません」のコピーと飯島愛の顔。下段には「HIVとエイズの違いを知っていますか?」の赤い文字。

12月1日の世界エイズデーと、レッドリボンキャンペーンの広告だ。

別に飯島愛が全面広告で出ていても良い。ただ、「プラトニック・セックス」などを書いて、街角で避妊具を配ってた人が「私は、わかりません」のコピーでいいのだろうか?知らないはずないでしょう。全国紙の全面自分の顔と、「わかりません」の言葉を取引したに違いない。

それにしてもエイズはレッドリボンで、乳がんはピンクリボンで、拉致被害者はブルーリボンで、刑務所帰りは黄色いリボンでとなると、そろそろホワイトリボンやグリーンリボンが出てくるのだろうか。そろそろ違う品物にしてもらわなければ、何がなにやらわからなくなる。

円高

大統領選が終わって、株式市場も好調なこの時期にいっきにドル安が進んできた。背景にはもちろん誰もが知ってるアメリカの双子の赤字がある。

しかしね、相場なんて物はみんなが思う方向にはなかなか進まないものですよ。第一、輸出に頼っている日本が円高だ!と言って喜んでいられずはずがない。ヨーロッパだって同じだ。日本と同じ状況のドイツが「ユーロの信頼感が世界的に増してきた」とか言って喜んでいられる状況にはない。おまけにインフレ体質が未だ残っている欧州各国は、原油高の時はユーロ高(ドル安)でインフレを防げたが、原油価格が落ち着いてくると、コストプッシュのインフレの芽が出始める。

ドル安になってHappyな国はほとんどない。
ではなぜドル安になるのか?
教科書的にはドル安圧力がかかるからです。

でもね、最後は市場は需給で決まるんですよ。

高齢化

高齢化社会
まずは、毎日新聞の11/15の社説(全文)

全国72の刑務所施設の収容人員は6万人を突破し、昨年末で収容率は117%に達している。問題は高齢受刑者の急増であり、60歳以上の受刑者は、30年前は全体の1.6%にすぎなかったのに、昨年末は11%を占めた。先進諸国と比べても突出しており、60歳以上の受刑者の割合はフランス3.6%、英国2.8%、ドイツ2.6%で、米国は55歳以上でも3.1%にすぎない。各刑務所では高齢者のために懲役作業の時間を短縮したり、軽作業を割り当てるといった配慮をしているほか、衣類や寝具、健康管理なども若年層より手厚くしている。所内のバリアフリー化も進み、刑務所が老人施設化しているのが実情だ。犯罪者に罪を償わせ、教育的処遇で更生を促すという本来の目的から外れ出している傾向は否めず、このままでは行刑システム全体がゆがめられかねない。

次にこの事件

80歳の女性が、82歳の夫をまさかりで数回殴り、夫は重体。「夫が浮気をしていると思い、殺そうと思った」などと供述しているという。

両方とも犯罪がらみの内容だが、なかなか理解に苦しむ内容だ。

社説は刑務所の老人ホーム化を懸念させる。高齢者とは言え犯罪者に刑の軽減を図る必要があるのか?これでは軽作業と、質素なご飯、規則正しい生活で、そこらの老人ホームより健康的な暮らしではないのか?
殺人未遂事件の方では、高齢者の方には非常に失礼だが、「82歳でも嫉妬するの?」、「82歳でも嫉妬して殺したくなるの?」と言うのが正直な感想。

子供の闇に部分が理解できない事件が続いているのと同様、高齢化社会では理解に苦しむ高齢者の事件が起こるようになるのだろうか。それともこれまでは社会の少数派であるがために表面化しなかった事実が、社会の多数派になるにつれて明らかになり始めただけだろうか。

私たちが一歩ずつ近づいている遠くない未来がどのような社会になっているの想像できない。漠然とした不安が込み上げてくる。あと二十数年後、実際に体験できる。

左側の法則

歩行者が道路を歩くときには右側。車は左側を走らなければならない。そんな事は言われなくたって誰でも分かっている。しかし、昭和25年頃までは人も車も左側通行だった。

そもそも武士は左側に刀を差しており、右側通行だとすれ違う際に刀同士がぶつかってしまう。また左側を歩いていれば、敵に遭遇した際に刀を抜いて右側の敵にすぐ切り付けることが出来る、等の利点があった。それが車が普及するにつれて、歩行者の視認性を考慮して現在の「車は左、人は右」になった。

しかし、人間はもともと左側を歩くように遺伝子にプログラミングされているらしい。この理由は明らかになっていないが、国や性別による差違はなく、人類全てに共通する習性なのだそうだ。心臓が左側にある為に、それをかばう為に無意識に左側を歩くと言う説。利き足が右足の人が多く、右足の蹴る力が強い為に左側によってしまうという説、などがあるが、いまだ真相は不明らしい。

以前、ふと歩いているときにこの話を思い出し、自分が自然に左側を歩いているのに気付いて納得した。

しかし、私が朝に降りるオフィス近くの地下鉄の駅では、改札を出ると人々はいっせいに右側通行で怒涛の如くそれぞれのオフィスへ向かう。群集心理が働いて前の人についていく行動となっているのかもしれないが、自然に逆らって右側を歩いていたのでは、無意識のストレス、あるいは緊張感が身体にかかっているはず。

あ、なるほど。これも出勤前に無意識のうちに右側を歩いて精神を緊張状態に保っているのかもしれないね。

ふと思いついたが、陸上やスケートなどのトラック競技は左回りだ。

左側のなぞ。

Five Spot After Dark

村上春樹の「アフターダーク」に出てくる準主人公「タカハシくん」がバンドで練習している楽器はトロンボーン。彼がその楽器を好きになった理由が、カーティス・フラー(トロンボーン)のブルース・エットの1曲目に入っている「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」だ。本の題名「アフターダーク」もここから取られたのかもしれない。

タカハシ君によるとこの曲は「ひしひしと」良くて、「両方の目からうろこがぼろぼろと落ちる」のだ。村上春樹の最初のこの曲の印象がそうであったのだろうが、私の場合は「ビンビンと」ハートに響いてきて、今でもお気に入りの1枚だ。ちなみに村上春樹は作家になる前はJAZZ喫茶の店を経営しており、ハンパじゃなくJAZZには詳しい。だから、感覚としては私より村上春樹の方が正しく、初めて聞く人は「ひしひしと」良い曲に聞こえるだろう。


この曲は「ゴルソン・ハーモニー」として有名な、テナー・サックスのベニーゴルソンが作曲。アルバム中、ゴルソンが2曲、フラーが2曲、その他が2曲という構成になっており、ブルース・フィーリングタップリで非常にノリやすい曲が多い。トロンボーンといえば谷啓をすぐ思い出してしまう人もいるかもしれないが(いないか・・・)、やわらかく、しかし低音が効いていて、JAZZにピッタリの楽器なのだ。

先日、銀座の山野楽器を覗いたところ、村上春樹の「アフターダーク」の表紙と一緒に「ブルース・エット」が紹介されていた。しかし、売り切れ中で「大好評により入荷待ちです」の表示。きっと村上春樹ファンが買っているのだろう。それで、家できっと満足していることだろう。「JAZZってかっこいいじゃん。わかりにくいなんんてことないじゃん!」

JAZZを初めて聞く人にはかなりオススメの1枚であるのは確かだ。これからJAZZの深みにハマって行っていただきたい。ただし、このアルバムでJAZZに触れるきっかけとなった人は、くれぐれも次にコルトレーンなぞは聞かないように。それでも、どうしてもコルトレーンから入りたいなら、まずは「バラード」からにしておきな。悪い事は言わないから。